飲食業界への転職を考えている人が最も重視する求人情報は、「福利厚生」と言われています。
これは、そもそも本業界が自分の時間を確保しにくい、忙しい仕事に忙殺されやすい業種であると一般的に認識されていることに由来しています。
特に、社会保険に目を向けた際に「雇用保険のみ」の加入であることは、飲食業界においては未だあるあるです。
むしろ個人経営の場合その可能性が高いとまで言えます。
一方で、そのような状況を問題視した結果として大手企業を中心としながら福利厚生が整った飲食店が増えつつあるというのも事実です。
福利厚生はそこで働く人の生活にダイレクトに関わってくるものなので、真剣に長くそこで働きたいと考えている優秀な人材ほど求人票の福利厚生のチェックは怠りません。
注意しましょう。
ただ、福利厚生が充実しているとうたっているのに蓋を開けてみれば全くその実態がない、というのも厳禁です。
たとえば、求人票に月何日以上の休暇がある、などと記載していたにもかかわらず人手不足を理由に休日がままならなくなってしまった、そのような事態が起きることはあるでしょう。
しかし、休むことは従業員側の正当な権利です。
そのことを理由にしっかりと相談してくる従業員こそ優秀な人材とも言えます。
そのため、実現できる条件の中で最大限従業員が働きやすい福利厚生をしっかりと整備することが重要です。
また、福利厚生は社会保険だけ、その中でも雇用保険だけといった知識不足の経営者が多い点にも注意が必要です。
知識があるスタッフの場合法を武器に戦われてしまうことも十分に有りえます。
ただしい理解のもと優秀な人材が魅力的に感じる福利厚生の提供を目指しましょう。
なお、そもそも飲食業界は人材の入れ替わりが非常に激しい業界である、という話は多くの人が耳にしたことがあることでしょう。
それゆえに、本業界への転職に対するハードルを低く考える人は多いです。
一方で、飲食店は人材ありきの存在です。
見た目が同じ店で同じ料理同じサービスが提供されるとしても、スタッフの心が感じられない、あるいは不愉快な思いをするような店からは当然客は離れていきます。
それゆえに、世の中のシステム化や効率化が進む現代社会においても人間味が求められている数少ない業界とも言えます。そのため、求人においてもその店ならではの雰囲気や特徴がどこにあるのか。
そのような点を重視して求人を見る人も多いことを念頭に置いておきましょう。
福利厚生が社会保険とは限らない注意点
福利厚生とは、「従業員を会社に定着させる為に、社員本人やその家族に提供するサービスの事」を意味します。
ただ、この時に福利厚生は「社会保険や労働保険の負担=法定福利(飲食業界の場合未加入の会社も多いので要注意)」と、「会社毎に別々に設けている(※差別化と言っても良い)法定外福利」の2つがあるという点を知っておく必要があります。
前者に関しては、法律で設定されている物なので一部の例外を除けばどの業界や会社でも大差はありません。
ですが、後者は住宅手当に食事補助、社員旅行等、会社によって相当な違いがあります。
会社が特に社員に定着してもらいたかったり、有為の人材を欲しいと思う場合は、勿論予算の都合等もありますがこの法定外福利に世間と社員の両方が求めている具体的なメリットが分かる物を入れる必要があります。
求人情報を見る側で考えるにしても、この部分がしっかりしているという事は「その求人情報を出している会社は社員を大事にしている」と見る基準に出来ます。
(※少なくとも、ブラック企業でしたら、社員にメリットがある様な福利厚生等入れる必要が無いからです。)
そういった点を勘案するのであれば、福利厚生=社会保険という事で簡単に考えないで、精力的にその内容を吟味する事をお勧めします。
飲食店が導入しやすい福利厚生とは?
飲食店が導入しやすい福利厚生の急先鋒は、「まかない」です。
「従業員への楽しみ提供」や「店の味を知ってほしい」、そして「余剰食材を腐らせない」の3点を理由に採用しているお店は少なくありません。
ですが、フリーハンドで余り物をどんどん使ってしまうと、税務署から物言いが付いてしまう事も計算に入れておく必要があります。
ですので、もしも導入を考えるのであれば、「役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担しているか」と「食事の価額−役員や使用人が負担している金額が1か月当たり3,500円以下で収まっているか」の2点を気にして下さい。
給料の支払いは必ずしも現金だけで行うとは限らず、現物給与が「現金をあげた事」と同様の意味で受け取られてしまう事があります。
給料と認定されてしまった場合は、住民税と所得税がカウントされてしまう事になるので福利厚生所か、従業員の迷惑になってしまう事も十分あり得ます。
ちなみに、これ以外では親孝行制度という事で、遠距離に住む両親に会いに行く交通費を支給してくれるというシステムであったり、失恋時に一定の休暇をお願い出来る等の福利厚生も有名です。
後は、飲食店という清潔を気にしなければならない職場環境ならではという事で、インフルエンザ予防接種や人間ドック関係のお金を出してくれる物等がある事も押えておきたいポイントになります。
飲食業界にはこんな福利厚生も! 人気店の事例を紹介
株式会社松屋フーズホールディングスは、福利厚生のカフェテリアプランを採用しています。
先立つ物であるお金という具体的な制限もありますし、従業員全員が平等に使用出来る法定外福利の設定は難しいです。
そこで、それぞれのニーズを満たす方法という事で最初からメニューを設定しておいて、そこから自身に必要な物をチョイスしてもらうという事で「カフェテリア方式」が誕生する事となりました。
具体的なメニューと条件は、研修旅行や資格取得試験費用、PC本体にビジネス雑誌購読、健康管理等で1人1年度、上限は5万円に設定されています。
続いて「餃子の王将」で有名な、株式会社王将フードサービスは「本人・配偶者誕生日祝い品」というサービスが設定されていて、これは該当日になると本人と社長からのお祝いのお花とメッセージカードが贈呈されるという面白い試みです。
社長が「いつも社員を支えてくれる配偶者の方に、何とかして感謝の気持ちを伝えられたら」という事で考えたとの事で、社員内の評判は中々評判が高いと言われています。
これ以外では、株式会社ゲイトによる「自社の居酒屋を何度でも無料で利用できる権」等も有名な福利厚生です。
何度も無料である上、自社のサービスをお客の立場で再チェックする機会にもなるという事でゲイト関連企業では、好評を得ています。
飲食業界に転職するなら福利厚生をチェック。確認すべき3つのポイント
まず、「社会保険にしっかり入っているか」を必ずチェックする事をお勧めします。
一般の会社であるならば法定福利である社会保険には自動的に入る物と思うかもしれませんが、飲食業界は社会保険未加入の会社も普通に存在する事が多いです。
飲食業界に入る時に、特に他業種からの転職の場合は求人情報を閲覧する時点で盲点になってしまう事が意外に多い点ですので、必ず加入の有無をしっかりチェックして下さい。
続いて、女性の場合は「産休と育休の有無」を調べておく事も重要になります。
飲食業は性質上、常に現場に入ってくれる人が良いという事で、女性の都合に関して整備がされていない会社も残念ながら決して少なくありません。
有意義なキャリアと不安なく積んでいく為には、その辺の問題と克ち合わない会社を選んだ方が堅実です。
そしてラストが、「法定外福利」の充実になります。あるいは、まかないであったり食費の負担が軽くなる物であったり、スキルアップを積極的にプッシュしてくれる様なサービスの有無はその後の人生にも大きく関わってくるとも言えます。
出来るだけ、此処が良い条件の会社を探す事は特に心掛けておきたいポイントです。
後は社会保険だけに着目すると、個人経営の飲食店の場合は雇用保険のみで、大手の方は法定福利完全完備な傾向が強いという様な点を抑えておけば申し分ありません。