高度な技術があり、ドラマやマンガの主人公にもなる外科医ですが、最近ではその数が減少しています。
各医療機関での募集も多いのですが、不足しているのが実情です。
その最大の理由は、報酬の少なさであるといえます。
日本では診療報酬制度に定められた点数によって報酬が決まりますが、点数が低く設定されているため、高い技術で診療しても内科などより報酬が少ないということがよくあります。
医師転職の最も多い理由は仕事量と報酬のアンバランスですが、こうした現状から外科への転職希望者は減少傾向となっています。
また内科に比べて、医療ミスの発生するリスクが非常に高いため、訴訟を起こされたくないという意識も大きな理由です。
特に大学病院ではこうした意識が強く、インターン後に外科への配属を指示された若い医師が辞めてしまうというケースも珍しくありません。
その結果、優秀な医師の外部流失という問題も生じています。
他にも、医師側の意識の変化も理由の一つです。
もともと外科は人気が高く、多くの医師に望まれてきました。
ところが患者の環境や労働条件の変化によって、年々希望者が減少しています。
かつては患者を治すことだけを生きがいにしていた医師もいましたが、時代は大きく変わりました。
生きがいや華やかさよりも、業務のしやすさや安定した生活を重視する人が増えているのが実情です。
しかし民間の病院では、このような転職事情が改善しつつあります。
その要因は、まず設備が整っていることが挙げられます。
その結果、医療ミスのリスクが抑えられています。
さらに、効率的で健全な経営によって高い報酬が支払われる制度が確立されているので、仕事量と報酬のアンバランスも解消されます。
もちろん、医師の労働環境もしっかりと整備されている病院が多いため、一人の医師に業務が集中することもありません。
様々なプラス要素によって改善されてはいますが、人材不足という転職事情は続いています。
ある程度のリスクが覚悟できれば、比較的転職しやすい状況です。
ただしこの状況も、新型コロナウイルスという問題によって、大きく変わる可能性があります。
当然ですが、新型コロナウイルスの診療は内科ですので、外科の感染リスクはある程度低くなります。
感染リスクが低いことを理由に転職が増えれば、採用倍率も上昇します。
現代の医師は安定を重視しているので、今後まったく新しい転職事情になる可能性もあるといえます。